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前編では、大麻が日本で違法な理由を、考えられる幾つかの事情から検証しました。
後編では、大麻が日本で違法な理由を、そもそも大麻はいつから日本で違法になったのかという歴史と、海外事情の側面、海外事情から派生する大麻産業の面から、考えていきたいと思います。
目次
日本における大麻の歴史

そもそも日本で大麻とはどのように扱われてきたのか、いつから大麻が日本で違法となったのか、その歴史をみていきたいと思います。
太古の昔から大麻は日本で違法なものとして扱われてきたのでしょうか?
日本の歴史上、アサの存在が確認できるところから現代までさかのぼりたいと思います。
第二次世界大戦前の日本における大麻
日本では弥生時代から、布や縄を作るためにアサが使われていたことが「万葉集」などの記述から知られています。
神道でも神聖な植物として、伊勢神宮のしめ縄などに使われてきました。
向精神効果をもたらすTHC成分は0.3%以下のアサで、そもそもアサを吸うという習慣は日本には戦前はなかったのです。
そのため、1940年代には繊維需要拡大のために栽培が奨励され、農林省が会社を設立したほどでした。
つまり、第二次世界大戦前は、大麻が麻薬として違法ではなかったということです。
その後の日本での大麻の広まり
【戦後すぐ】
敗戦した日本を支配したGHQ兵士が大麻を吸う習慣を日本に持ち込み、それを真似て日本人も吸い始めるようになったのが、日本での大麻を吸う習慣の始まりだったようです。
その後、GHQによって大麻取締法が策定されるのですから、持ち込んだ当のアメリカが、それを禁止するという、何とも皮肉な結果になったという訳です。
【1960年代】
アメリカのヒッピー文化の影響もあって、大麻を「吸う」という文化が日本の限定された若者の間に広まりました。
【1970年代】
マスメディアで初めて大麻を正面からとりあげたのは1970年のある雑誌でした。
その7年後、歌手の井上陽水が大麻で逮捕された時も、マスコミは「本当に大麻は悪なのか?」という懐疑的な雰囲気だったということです。
ただその頃から大麻への取締りは厳しくなり、1966年に176人だった逮捕者が、
1979年には1000人を超えたので、急激に広まったことがわかります。
【1980年代】
そして1980年代に入り、米国レーガン大統領がアンチ・ドラッグ・キャンペーンを実施しました。
日本はそれを追いかける形で「ダメ、絶対」キャンペーンを行ました。
多くの芸能人の大麻関連の逮捕により、世論は急激に「アンチ大麻」となっていったのが、現在まで続いているというのが、日本における大麻の歴史です。
大麻で逮捕された芸能人たち

前編の冒頭で触れた、俳優の伊勢谷友介容疑者以外にも、過去多くの芸能人や有名人が、大麻取締役法違反で世間をにぎあわせてきました。
具体例をあげてみましょう。
- 研ナオコ:1977年、大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕(後に起訴猶予処分)。
- 井上陽水:1977年、大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕。懲役8ヶ月、執行猶予2年の判決。
- 内田裕也:1977年、大麻取締法違反で逮捕(起訴猶予処分)。
- にしきのあきあら:1977年、大麻取締法違反で逮捕。
- 桑名正博:1981年、大麻を使用とした大麻取締法違反容疑を認める。
- 萩原健一:1983年、大麻取締法違反(所持)で逮捕。
- 長渕剛:1995年、大麻取締法違反で逮捕。
- いしだ壱成:2001年、大麻取締法違反で逮捕。
- YOU THE ROCK:2005年、大麻取締法違反(所持)で懲役8ヶ月執行猶予3年の判決。
- 加勢大周:2008年、大麻取締法違反・覚せい剤取締法違で逮捕。
- 高樹沙耶:2016年、大麻取締法違反の疑いで現行犯逮捕。
- 高知東生:2016年、大麻取締法違反・覚せい剤取締法違反で逮捕。
- 田中聖(元KAT-TUN):2017年、大麻取締法違反。
- 田口淳之介(元KAT-TUN):2019年、大麻取締法違反。
ざっと挙げただけでも、こんなに沢山の大麻取締法違反で逮捕された芸能人がいます。
他の薬物法違反も含めたら更に多いですね。
大麻事件を起こした芸能人の復帰
1970年代は上記の通り、マスメディアを始め、世間一般も大麻に対して寛容なところがみられました。
そのため、大麻事件を起こしたのち、半年~一年間程度の自粛期間を経て、また芸能界に復帰し現在活躍している人もみられます。
その後、1980年代の「ダメ、絶対」キャンペーンにより、大麻も麻薬としての認識が深まり、大麻事件を起こした芸能人の芸能界復帰は困難な状況になり、現在ますますその傾向は強まっています。
その結果、生活する術を失ったことなどから、大麻よりも依存性と害の強い覚せい剤へと道を外す人が増える、という悪循環を招いている部分も否定できません。
覚せい剤との比較
覚せい剤で逮捕された人は複数回逮捕されるているのを繰り返しています。
このことから、覚せい剤は大麻よりもずっと依存性が強く、一度手を出したら抜け出すことがいかに困難な薬物か、よくお判りになると思います。
ただ、大麻は依存性が覚せい剤より低いとはいえ、覚せい剤に手を出しやすいところに立ち入ってしまったことを示してもいます。
大麻から始めて覚せい剤に移行した芸能人が多いことは氷山の一角で、一般人に至ってはもっと多くの人数かいるでしょう。
その意味で、「大麻ならいいよね」ということにはならない、といえ、それが日本で大麻が違法な理由の一つと考えられます。
海外における大麻状況は?

このようにして日本は現在も大麻は限られた条件を除き違法となっています。
それに対し、海外事情はどうなのでしょう?
世界では、既に複数の国で大麻(マリファナ)は合法化されています。
ですが、その内容には幾つかの基準に分かれます。
【具体的分類】
- 医療用として部分的に許可
- 嗜好品として少量が許可
- 大量の所持でも非犯罪化
各国の事情をみていきましょう。
世界で初めて合法化されたのはウルグアイ
【世界初の合法化】
2013年、大麻の生産流通販売が認められた(政府の監視下で)のが、世界で最初でした。
【合法化の目的】
政府管理下で安価に大麻を供給することで「麻薬密売組織を弱体化」させることが合法化の目的だったようです。
【厳しい条件】
2017年に薬局等で購入可能になりましたが、政府から事前許可を得た18歳以上の国民(永住者)が対象で、購入可能量が制限されるなど厳しい条件があります。
【メリットとデメリット】
ウルグアイでは、麻薬取引が減っただけでなく、その他の効果も生まれています。
他方、販売許可薬局が少なく合法的購入が難しい、大麻を扱うことで強盗の危険が高まることを心配している薬局もあり、安定供給量を確保したり治安面では課題があるようです。
アメリカは州ごとによって異なる
【コロラド州】
アメリカで最初に合法化されたのは、コロラド州でした。
現在では、スターバックスとマクドナルドを足した数よりも、大麻を扱う店が多いというから驚きです。
また大麻目的の観光客が増えたことによる観光収入が増加、州の税収が増加する、といった効果も発生しているようです。
【カリフォルニア州】
ハリウッドなどでエンターテイメントの街であるカリフォルニア州では、大麻をテーマにした映画が受賞していることから浸透具合が日本とは大きく異なりますね。
【アメリカ全体の状況】
全体的には、ワシントンDCを始めとする9州が娯楽目的の大麻使用が合法化されているとのこと。
医療用目的使用が合法化は30州にもなり、2017年の合法的大麻売上は97億ドルをというのですから、既に立派な産業になっています。
また、世論調査では「国民の62%が大麻合法化を支持」しているとのこと。
マリファナ=オランダ?
オランダといえばマリファナというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
オランダでは、ソフトドラッグ(大麻等、中毒性が比較的低いとされる麻薬)の使用者が多いため、完全に追放することはできないとして容認しているようです。
そのため、国の監視下でのソフトドラッグを販売許可することで、ハードドラッグ(コカインや覚醒剤等、中毒性が激しい麻薬)が広がるのを防ぐ政策をとっているようです。
このようにソフトドラッグを受け入れているオランダでは、非合法の国よりも使用率が低いという研究結果がある反面、観光客のマナーが悪いという問題を抱えているようです。
アジアにおける大麻合法化の波

【韓国の大改革】
大麻の合法化がもっとも遅れている東アジアで、お隣の韓国が大きな決断を下し、着々と合法化している欧米諸国の流れに乗る準備を進め始めました。
今まで韓国では、今回制定された特別区域外においては、日本と同様「繊維と種子用の大麻草栽培だけ」が許可されており、その他は韓国も法律により違法でした。
それがまず、東アジアで初めて「医療用大麻成分の使用」を認めたことで世界を驚かせました。
更に今年、南東部の慶尚北道地区を「特別産業用ヘンプ自由区」に指定したのです。
これは、スマート農業及びハイテク・バイオベース産業の中心とすることを目的としているとのことです。
リ・チュルウー知事は、この取り組みについて、「ヘンプの産業化の始まり」と述べたうえで、以下のように発言しています。
「この特別規制区域は、医療用ヘンプ (注:医療用大麻ではなく、ヘンプからCBDなどの医療に有用な成分の抽出を目的としている。一般的に陶酔成分THCを含まない)の合理的な産業化計画を模索しているという点で、既存の特別区域とは異なる特別な意味を持っている。その目標は、輸出向けの製品を製造するための抽出精製プロセスを開発することだ」
【中国】
- マリファナに対して厳しい姿勢をとっている。
- 反面、世界一のヘンプ生産量で、世界一のCBD原料生産量。
【日本】
日本が、アジア先進国の中でも遅れをとっていることがわかります。
ただし、大麻栽培免許は各都道府県知事に発行権限があるため、大麻産業の可能性に着目した都知事が、韓国を真似た「ヘンプ特区」を始める可能性がないわけではないでしょう。
大麻合法化のメリットとデメリットと産業化の波

大麻を既に合法化している国では、メリットとデメリットが生じているようです。
その両方を抱えつつ合法化をしている点について、今後の日本がどうすべきか検討材料となるでしょう。
【メリット】
- 大麻産業に関する雇用の創出。
- 大麻による税収の増加。
- 大麻取締のコスト減少。
【デメリット】
- 大麻が吸えることを目的に訪れる、マナーの悪い観光客の増加。
- 大麻使用が、覚せい剤等に進む入口になっている。
大麻新大麻産業時代の到来

更に大麻が合法化している国では、大麻に関する新たなビジネスが展開されています。
大麻由来成分で「薬品」「食品」「化粧品」を作る大麻ビジネスが盛んになり、「グリーンラッシュ」という言葉も生まれているそうです。
世界の合法大麻市場は、2021年には日本円に換算して「約3兆5700億円規模」にまで発展する、と予測されているのです。
日本でもすっかりおなじみの「決済サービスPayPal」創業者ピーター・ティール氏が、既に数百億円をグリーンラッシュ関連企業に投資しているとも言われています。
【新ビジネス例】
- マリファナ産業専門の人材派遣会社
- 女性向けマリファナ器具として違和感なく化粧ポーチにいれられるお洒落な商品発売
今後益々この分野のビジネスは広がっていくものとみられます。
日本人が合法化されている国で大麻使用したら?

日本国内では禁止されている大麻ですが、合法化されている国で使用する分には問題ない、と思っている方はいませんか。
【結論】
処罰の対象になり得ますので、ご注意くださいね。
【理由】
大麻取締法の親分的存在である「刑法」によって、「日本人」は「世界中のどこででも大麻は違法」と規定されているのです。
大麻取締法24条の2第1項 | 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。 |
大麻取締法24条の8 | 第二十四条、第二十四条の二、第二十四条の四、第二十四条の六及び前条の罪は、刑法第二条 の例に従う。 |
刑法2条 | この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。(以下略) |
大麻が日本で違法な理由は?【後編】歴史と海外事情を徹底検証!まとめ

前編・後編に分けてみてきた、日本で大麻が違法な理由について、様々な角度から検証してきましたが、皆さんはどのように思われましたか?
やみくもに「大麻は絶対悪」と根拠なく主張するのは、現代にはもう合わないように思えます。
かといって手放しで「大麻くらいい」とか「医療大麻」ならいいじゃない、と考えるのも危険です。
大麻は幻覚や脅迫概念などを生み出す成分(THC)を含んでいます。
THCを除外した部分を利用するのか、それとも嗜好品としてまで許すのかについて、国民一人一人が、科学的根拠を元に十分な議論を重ねる必要があるでしょう。
他国の例を参考に、日本独自の文化や思考に基づいて、どの範囲まで許容するのか、今後も一切許容しないのか、について考えるべき段階にきていることが、日本が大麻を違法とする理由の検証から分かってきたことのようです。
みなさんも、考えてみてはいかがでしょうか。
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