
先月、中国で新型ブニヤウイルスの感染症で7人が死亡したという報道が日本でなされました。調べてみますと、どうやら2009年に中国で発生が報告され、2011年に原因ウイルスが特定された重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSウイルス)の事を指しているようだというのが分かりました。マダニが原因の感染症で、人から人へ感染することもあるそうです。
既存のウイルスだということは調べればすぐに分かることなのに、マスコミが曖昧に報道している感じがするのが何か怖いなと思いましたね。今までのSFTSウイルスとは違うウイルスだということを暗に伝えたかったのでしょうか?
ところで、今回報道された新型ブニヤウイルスも他のウイルスと同様に変異するかもしれませんし、知られていないだけですでに変異しているかもしれません。分からないから対処しようがありませんし、恐怖感は捨て切れませんね。
新型コロナウイルスのような正体不明のウイルスなのかどうか分からない、といった不気味さがあります。
新型コロナウイルスのように一気に感染拡大してあわてる前に、新型ブニヤウイルスへの対処法を知って警戒しておきましょう!
目次
新型ブニヤウイルスとは!?

新型ブニヤウイルスというのは冒頭で少し触れましたが、中国で2009年に発生が報告されていたSFTSウイルスのことを指しているようです。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は日本でも2005年に初めて患者が発生しました。それから感染者が増え、2015年3月の時点で国内患者数が100名以上存在していました。マダニが原因で、人から人へ感染することもあるそうです。
中国と日本のSFTSウイルスはほぼ同じだが完全に同じものではない、とのこと(厚生労働省のホームページより)。
更には、ウィキペディアによりますと、マダニが原因の重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSウイルス)は、中国で“新型ブニヤウイルス”と呼ばれることもあるそうです(中国語で「新布尼亞病毒」)。
SFTSウイルスは日本でも以前から存在していますから、新型ブニヤウイルスは全く新しいウイルスという訳でもないということになりますね。
2009年に中国で発生した新型ブニヤウイルスと呼ばれることもあるマダニが原因の重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSウイルス)と、先月新たに報道された新型ブニヤウイルスはどう違うのかといった情報が得られませんでした。
ここでは、新型ブニヤウイルスは重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSウイルス)のことだと捉えて解説させていただきたいと思います。
新型ブニヤウイルスの特徴

以前、日本でマダニにかまれて人が亡くなったというニュースが報道された後、父がよく「マダニにかまれたくない。」、「マダニにかまれたら終わりよ。」、「マダニにかまれるかもしれない。たぶんかまれるわ。」などとよく言っていました。2、3か月に一回は言っていたような気がします。
父は草むらで作業することが比較的多かったので危機感が違っていましたね。父なりにできる限りの対策はしていたはず。今思うとSFTSウイルスだったのですね。父はマダニにかまれることなく6年前に他界しました。
【新型ブニヤウイルスの特徴】
- 中国と日本で発生した重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSウイルス)は、遺伝子レベルでわずかに違う、ほぼ同じウイルス(厚生労働省のホームページより)。
- 重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSウイルス)は新型ブニヤウイルスと呼ばれることもある
- 感染の原因はマダニによる吸血
- 患者の体液や血液に接触することで人から人へ感染する
- 主に西日本で年間100人の方がかかっている
- 致死率は27%
- ウイルスを不活性化するには消毒用アルコール、台所用洗剤、紫外線が効果的
- 重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSウイルス)は、ブニヤウイルス目のウイルス(ブニヤウイルス目の“目”は、ウイルスの分類の名称)
下の表はマダニ、ツツガムシが感染源の5つの感染症についての概略です。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)と特徴の違いを比べてみるといいかも知れません。
【マダニ、ツツガムシが運ぶ5つの感染症 概略】
感染症種類 | ツツガムシ病 | 野兎病 | 日本紅斑熱 | ライム病 | SFTS |
媒介動物(ベクター) | アカツツガムシ
フトゲツツガムシ タテツツガムシ |
キチマダニ
タネガタマダニなど |
ヤマトマダニ
フタトゲチマダニ キチマダニ |
シュルツェマダニ | タカサゴキララマダニ
キチマダニ フタトゲチマダニ オウシマダニ |
病原体 | リケッチア | 細菌 | リケッチア | 細菌(スピロヘーター) | ウイルス |
感染様式 | 次世代への経卵伝播あり
ヒトからヒトへの感染なし |
ノウサギのハク皮や肉調理時での感染がほとんど
ヒトからヒトへの感染なし |
次世代への経卵伝播あり
ヒトからヒトへの感染なし |
・次世代への経卵伝播なし
ヒトからヒトへの感染なし |
・次世代への経卵伝播あり
ヒトからヒトへの感染あり(中国) |
感染症種類 | ツツガムシ病 | 野兎病 | 日本紅斑熱 | ライム病 | SFTS |
保菌動物 | 野生げっ歯類 | キジ ヤマドリリス ツキノワグマ ノウサギ |
シカ 野生げっ歯類 |
鳥類 野生げっ歯類 |
シカ イノシシ ヤギ(ウイルス血症の期間が短い) 野生げっ歯類(ウイルス血症の期間が長い) |
疫学 | 江戸時代から流行
現在、全国的な流行あり |
1924(昭13) 初症例
戦後~昭和30年 年間50-80例発生 その後は流行なし平成20年5例発生 |
1984(昭59) 徳島県初症例
現在、西日本中心に流行 関東地方へ拡大 |
1986(昭61) 長野県初症例
現在、北海道(平地)、長野北(山間部)に散発 |
2013(平25) 山口県初症例
これまでに170名(死亡64名 死亡率27%) 男性77名 女性93名 60歳以上が大部分 |
症状 | 39℃以上の高熱、頭痛、発疹、リンパ節腫脹
刺し口(赤く腫れる、痂皮形成) |
急性発熱悪寒、関節炎などのインフルエンザ様症状
ヒジ、ワキのリンパ節腫脹が多い |
高熱、頭痛、発疹(四肢中心、手掌部の紅斑あり)
刺し口(赤く腫れる) リンパ節腫脹は少ない |
発熱、頭痛などのインフルエンザ様症状
刺し口に紅斑性丘疹が出る 遊走性紅斑に拡大 |
発熱、吐き気、下痢など
血小板、白血球減少 出血、意識障害認められる |
引用元:ヤマビル研究会 www.tele.co.jp/ui/leech/tutuga_madani/virus.html#virussort
新型ブニヤウイルス感染の原因のマダニにはどんな種類が!?
新型ブニヤウイルス感染の原因と考えられているマダニを数種類ご紹介いたします。
【フタトゲチマダニ】

引用元:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/フタトゲチマダニ
【オウシマダニ】

引用元:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/オウシマダニ
【タカサゴキララマダニ】

引用元:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/タカサゴキララマダニ
↑これは名前に釣られてかわいい姿を想像していましたが、とんでもなかったですね!
それぞれのマダニが特徴的な外見をしているので見かけたら対処しやすいかも。吸血すると体が何倍にも膨らむのが特徴です。
【タカサゴキララマダニが服にかみついている動画】
【マダニの吸血前と吸血後の大きさの違いがよくわかる動画】
【マダニ取りグッズ・『ティックツイスター』でかみついたマダニを取る様子】
※ティックツイスターはペットや人に使用可能とのこと。
ブニヤウイルスの種類やSFTSと似ているウイルス感染症は!?

ここでは、ブニヤウイルス目のウイルスの種類やSFTSと似ているウイルス感染症について説明させていただきます。
ブニヤウイルス目のウイルスの中にもいくつかのウイルスがあります。日本でもおなじみのハンタウイルスなどがありますね。
また、SFTSと似ているウイルスもあるそうです。これらは外国や日本で発見されていて、マダニが感染源とされています。
新型コロナウイルス感染症の収束もまだまだ先のことになりそうですね。SFTSウイルスだけでなく、SFTSウイルスに似たウイルスや新型コロナウイルスにも気をつけて生活をしないといけないというのは、何だか憂鬱になりそうですね。
ブニヤウイルス目のウイルスにはどんな種類がある!?
SFTSウイルスは、ブニヤウイルス目のフェヌイウイルス科(旧ブニヤウイルス科)・バンダウイルス属(旧フレボウイルス属)に属するウイルスです(厚生労働省のホームページを参考にしました)。
ブニヤウイルス目には12科(12種類)のウイルスが属しています。ブニヤウイルス目の中でも比較的よく知られている種類のウイルスを挙げてみました。
ブニヤウイルス目(分類・科) | 主なウイルス |
フェヌイウイルス科(旧ブニヤウイルス科) | 『フレボウイルス属』
・リフトバレーウイルス熱 『バンダウイルス属』 ・重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSウイルス) |
ハンタウイルス科 | ハンタウイルス |
ナイロウイルス科 | クリミア・コンゴ出血熱オルトナイロウイルス |
トスポウイルス科 | トマト黄化えそオルトトスポウイルス |
SFTSウイルスに似ているウイルスにはどんなものがある!?
【ハートランドウイルス】
2009年アメリカで発見された、SFTSウイルスと近縁の、マダニを媒介とするウイルス。中国のSFTSウイルスに似ているのが特徴ですが、同じウイルスではないとのこと。ハートランドウイルスという名前が付きました。
【新規オルソナイロウイルス】
2019年5月、北海道でマダニにかまれ、発熱と歩行困難を訴えて受診した男性患者から新しいウイルスが見つかったそうです。
SFTSウイルスに近い種類のウイルスで、新規オルソナイロウイルス(エゾウイルス)ということになっています。
新型ブニヤウイルスはマダニが原因・ウイルスの特徴と種類は!?|まとめ

今回は、新型ブニヤウイルスの特徴とブニヤウイルスの種類などを主に解説させていただきました。
新型ブニヤウイルス感染症はマダニが原因で、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)のことのようです。SFTSと似ているウイルス感染症もあります。
今回報道された新型ブニヤウイルスも、近い将来未知のウイルスだということになるのかもしれません。変異するかもしれませんし、知られていないだけですでに変異しているかもしれません。そう考えると大変不気味ですし、言いようのない恐怖を感じます。
SFTSウイルスの特徴を把握して、せめてマダニにかまれないようにしたいですね!
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