
さぁ、これから夏本番をむかえますね。今年の夏は川へ遊びに行こうと計画をしている方もいるのではないでしょうか。
夏になると必ずといっていいほど耳にする子どもたちの水難事故のニュース。
他人事ではありません。実は子どもの水難事故の原因は川で起こることが大半なんです。
「いつも遊んでいる川だから大丈夫」と本当の川の恐ろしさを知らないと、子どもを危険にさらしてしまうかもしれません。
そこで今回は、川で子どもの水難事故が起こる原因と子どもを守るための防衛術をご紹介します。
目次
水難事故につながる行為

日本ではどれほどの水難事故が起こり、1年で何人の方が亡くなられているか知っていますか?
警察庁の発表によると令和2年に起きた水難事故の発生件数は1,353件。うち死者・行方不明者は722名です。
水難事故の発生原因を行為別にみてみると、子どもの場合「水遊び」が一番多い結果となっています。

参考:警察庁
水難事故が起こる場所

場所別の統計は下記をご覧ください。
参考:警察庁
水難事故の半分以上が「海」で起きています。
いいえ、そうとは限りません。こどもだけの水難発生場所をみてください。

参考:警察庁
そうなんです。子どもの場合は海より川の方が発生件数が多いんです。川は時に恐ろしい顔をみせるのです。
子どもが川で水難事故にあいやすい原因

なぜ子どもだけでみると河川がダントツで事故に遭う件数が多くなるのか、その原因を私なりに考えてみました。
子どもの行動範囲内に川がある
子どもだけで遊べる場所、それは「家の近所」ですよね。
内陸県(海なし県)でなくとも歩いて行けるエリアに海がないという人が大半だと思います。しかし川が近所にあるという人は多いはず。
住んでいる地域に関わらず川は私たちの身近にあります。
子どもが川に接する機会が多い分、水難事故を起こす可能性も上がるということだと思います。
こどもは静かに溺れる
溺れているのに気付くのが遅くて救助の時間がなかったという理由も考えられます。
溺れる時って水の中でもがく「バシャバシャ」という音や「助けて!」という叫び声が聞こえてくるものだと思っていませんか?
実は子どもの場合はそうとは限らないんだとか。
お風呂で溺れた3歳児が病院に運ばれてきました。
母が下の子を洗い、目を離している間に、気づいたら仰向けに沈んでいました。
1-2分意識はありませんでしたが、幸い命に別状はありませんでした。
沈んだ音は分からなかったとのこと。
やはり何度でも強調しておきたい。
子どもが溺れる時は、静か。 pic.twitter.com/MRjCRjAF9G— 教えてドクター佐久@無料アプリ配信中♪ (@oshietedoctor) February 8, 2018
子どもは溺れた状況を理解できず、もしくは呼吸に精一杯で声を出す余裕もなく、静かに溺れるという驚愕の事実。
ちょっと目を離してぱっと振り向いたら子供の姿が消えていた。なんて想像したら、かなり恐ろしいですよね。というか怖すぎて想像すらしたくないです。
危険な川の特徴

ではどういった状況・行動が原因で川の事故は起こるのでしょうか。
調べてみたところ川独特の性質が大きな要因となっていました。
浮力が少ない
塩分を含む海水よりも真水に近く、さらに空気を含む川の水は人が浮きにくいのです。
海で泳げる人が川では泳げないということもあるほどです。
ホワイトウォーター
川の中でも岩や落差によって白く泡立っている場所(ホワイトウォーター)は40〜60%も空気が含まれていて物体の浮力を奪ってしまうので、特に浮くことが困難な場所です。
リサーキュレーション
またよく飛び込みなどする人が多い堰堤、このような人工物付近もリサーキュレーションという縦方向の渦が巻いており浮き上がるのが困難なため注意が必要です。

水圧が大きい
川には流れがあり動水圧が強い場所があります。
浅瀬で川の流れが比較的穏やかだからといっても油断してはいけません。
動水圧は速度に対し2乗の力がかかっているため、想像していたよりも強い力がかかり流されてしまうことがあります。
足首くらいの水位でも体ごともっていかれてしまう可能性もあるのです。
短時間で豹変する
雨が降ると増水したり、ダムの放水があったり、川の水量や流れは常に変化します。
予想を遙かに超えて急激に水が押し寄せる場合もあります。
そのことを私に思い知らせた事件がありました。
子どもを含む男女12人が川の増水により中州に取り残されましたが、その後無事救助されたというニュースでした。
当時1時間に80mmの猛烈な雨を観測しており、その影響で川の水位が急激に上昇したのだそうです。
12人もの人が川の増水を予知できずに中州に取り残されたという報道は当時の私にとって衝撃でした。
やはり想像している以上に速い速度で川の水は増えるということですね。
監視員がいない
川には海やプールのように監視員がいないうえ、救助ボートなども用意されていません。
そのため救助に遅れが生じたり、まちがった救助活動をしてしまいます。これも川で事故が起こる原因のひとつだといえます。
溺れた際の救助方法の知識を持った人、監視する人がいない川ではいつも以上に大人が子どもに注意をむけなくてはいけません。
子どもを守る防衛術

水難事故につながる川の特徴を知ってもらえたでしょうか。
時に川の中では、自分の思い通りに体を動かせなくなります。意識や努力では対応できないのです。
そのため事故を事前に防ぐことが子どもを守るために重要なこととなります。
そこで川に行くときに、絶対にしてほしい防衛術を4つご紹介していきます。
ライフジャケットの着用
水難事故の死因として「息ができないことによる溺死」が大きな割合を占めます。
人間は水の中では呼吸ができないので浮かぶ(自ら顔を出す)ことが非常に重要となります。
そこで活躍するのがライフジャケットです。
車のシートベルトと同じように川では必ずライフジャケットを着用しましょう。
岩や落差などによって空気を多く含んで水が泡立った場所(ホワイトウォーター)ではライフジャケットを着ていても沈んでしまいます。ライフジャケットを着ていても近づかないようにしましょう。
ライフジャケットの着方
正しいライフジャケットの着方は下記をご覧ください。
子どもと楽しく踊りながら着用できますよ。
ライフジャケットの選び方
やはり安全性を第一で選ぶことをおすすめします。
とはいっても普段利用しないライフジャケットの安全性や性能面の判断基準って難しいですよね。
そういう時はこの2つのマークのいずれかがついたライフジャケットを選んでください。
おすすめライフジャケット2選
安全性はもちろんのこと、子どもにはかわいいものを着せたいのが親心ですよね。
そんな方におすすめのライフジャケットをご紹介します。
ブルーストームの固定式ライフジャケットです。
- 国土交通省が認定した型式承認品
- 体重: 15kg~25kg未満に対応
メーカー価格:¥5,500(税込)
※同じデザイン・価格で体重: 25kg~40kg未満対応の商品もあります

引用元:Bluestorm
気象情報をこまめにチェックする
川は天気に影響されやすいので、気象予報は必ず事前に確認しましょう。
今いる場所で雨が降っていなくても川上で雨が降っていれば水量が増える可能性があります。上流の天気も確認することをお忘れなく。
国土交通省では川の防災情報を公開しているので随時チェックするといいでしょう。
掲示板や標識の指示を守る
「危険!川に入るな!」というような標識をみかけたら絶対に入らないようにしましょう。
流れが穏やかにみえていても川底の高低差が激しかったり、過去に何度も同じ場所で事故が起こっていたり、入ってはいけない何かしらの原因や理由があります。
まずは川の周りにそのような標識がないか確認しましょう。
服を着たまま・サンダル履きのまま水遊びをしない
服を着ていると水の抵抗が大きく泳ぎにくく、身体の動きが制限されます。
また川の中でバランスを保つのはただでさえ難しいので、サンダルを履いていると川底の小さな障害物でもひっかかりこけてしまう可能性があります。
子どもは水深20センチほどでも転ぶと全身に水圧を受けて流されてしまいます。
川に入るときは水遊びに適した服装(水着とライフジャケット)に着替えましょう。
水難事故の原因は川にあり!?今すぐ見て!!川の特徴と子ども守る防衛術/まとめ

もうすぐ夏休みがやってきます。
学校行事やイベントが制限される日々がまだ続いていますが、夏休みくらいは子どもを思いっきり外で遊ばせてあげたいですよね。
そのためには安全確保が必須条件です。大人の私たちが川の危険さと特徴を知って、子どもの身を守りましょう。
本音を言えば…子どもにはくたくたになるまで川遊びを楽しんでもらって、家ではたくさん寝てもらいたいですね。
この記事では実際に溺れた場合の救助方法が書かれてあります。
ぜひこちらも一緒に見て、この夏の川遊びを楽しんでください。