
例年より少し早い梅雨入りが報告される中、少しづつ薄着になり、夏が近づいてきていることを実感しますね。
夏が来たらBBQやキャンプ、海や川遊びといった夏しかできないイベントに、今からワクワクしている人もいるのではないでしょうか。
しかしそこで気を付けてほしいのが、水難事故。
悲しいことに、毎年海や川で溺れて命を落とす人が必ず居ます。
近くに溺れた人が居たら、助けなきゃ!と思うのは当然ですが、助ける時に絶対にやってはいけない鉄則があります。
その鉄則とは泳いで救助に向かうこと。
なぜ泳いで助けに行くのがダメなのか、どんな助け方が正解なのかを詳しく解説していきます。
目次
【絶対ダメ!!】溺れた人を泳いで助けるリスク
【川で溺れた男性死亡 男児救助で川に入ったか さいたま】30日、さいたま市緑区の川で、小学生の男の子2人を含む合わせて3人が溺れた事故で、意識不明の重体となっていた47歳の男性が死亡しました。男性は川に誤って転落した男の子を助けるために川に入ったとみられています https://t.co/535vDsT0pH
— NHK生活・防災 (@nhk_seikatsu) January 31, 2019
【川で子ども救おうと 男性死亡】三重県の川で63歳男性が川底から救助されたが、死亡が確認された。子ども2人が流され、助けるために川に入り溺れたという。流された2人は自力で岸にたどり着きけがはなかった。 https://t.co/e1f4W5VnVB
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) July 22, 2017
溺れた人の助け方として一番やってはいけないのが、泳いで救助に行くことです。
そのダメな理由は、二次災害が起きる可能性がかなり高いから。
「溺れた子どもを助けに行った父親が亡くなってしまった」というニュースをよく耳にしますよね。
こちらを見てください。水難事故の二次災害の被害者状況です。

死亡率が7割以上なんです。
かなりの高確率じゃないですか?
溺れている人は足が着かないことと、うまく呼吸ができないことで、かなりのパニック状態です。
そんな状態で誰か救助に来たと思うと、必死に掴まってきます。
二次災害で起きやすいのが、
- 正面から抱きつかれて身動きがとれなくなる
- なんとか溺れた人を岸に連れ戻しても、助けに行った方は力尽きる
というパターン。
泳いで救助に行く危険性を、分かってもらえたでしょうか?
目の前で人が溺れた実体験
私は数年前、目の前で人が溺れるという経験をしています。
しかも夜の真っ暗な海。
海面から3mほどの高さがある堤防に居たときに、すぐ横で女性の悲鳴とバシャーンという音の後、「助けて!誰か!」と叫び声が聞こえる!
人が落ちたことは明らかだったので、近くに居た人たちで救助しようとしましたが、こちら側で何を言っても、パニックで一切聞こえておらず、バタバタもがくばかり。
幸いにも釣り竿を持っていた人が居たので、それを投げて掴んでもらい、無事に引き上げることができました。
その人が助かって本当に良かったのですが、

という衝撃が、かなり大きかったです。
見ている私でもすごく怖かったのに、真っ暗な足もつかない海に突然落ちた本人は相当な怖さだったはず。
あんな状況で、誰かが海に入るという助け方をしていたら、助けに行った人も溺れていたよなぁ。二次災害の死亡率も納得だよなぁ。というのが私の感想です。
一緒に居た友人は、海に落ちたのは絶対に私だと思ったらしく、その理由は「落ちそうな顔だから」だそうですw
溺れた人の正しい助け方とは?

溺れた人は、陸地から救助するのが基本の助け方です。
通報
溺れた人が居たらまずは通報が第一です。
警察署 110番
海上保安庁 118番
警察・消防・海上保安庁は情報を共有しているので、いずれかに連絡すれば大丈夫です。
浮くものを投げる
ベストなのはロープを縛り付けた浮き輪を投げること。
「投げるから掴まってね」と一声かけてから、投げたほうがいいです。
ペットボトル、膨らませたビニール袋、バッグ、蓋を閉めたクーラーボックス等
ペットボトルはハイスペック
2Lのペットボトルは、体重70kgの人でも余裕で浮いていられるほどの高性能。
海や川に行くときには、だいたいペットボトルは持っていますよね。
空いたペットボトルが命の恩人ならぬ、命の恩ボトルになってくれることも覚えておいてください。
ちなみに2~3cmだけ水を入れると、遠くまで飛びやすいです。
ロープや長いものを投げる、伸ばす
手が届きそうな範囲なら、近くにある棒状のものを伸ばして使ってください。
川辺なら、流木や竹が落ちていたりしますよね。
強い力がかかるので、自分が引き込まれないように、柵に掴まったり、腹這いで助けるようにしましょう。
長いものがなければ、ロープのような紐状のものを投げてください。

衣服
ベルトや上着、シャツなど着ているものをつなげると、ロープ代わりになります。
つなげた時の長さは意外と3~4mくらいになるんです。
ほどけないように、しっかりギュッと縛ってくださいね。
予期せぬ緊急事態でも、衣服は必ずあるので心強いです。
ヒューマンチェーン
水に入らず救助が大前提ですが、投げられるものが何もなく、大人が数人いる場合のみ有効なのがヒューマンチェーンという助け方です。
複数の人が手を繋ぎ合って、鎖のようにするものをそう呼びます。

引用元:https://www.jrc.or.jp/study/safety/watersafety/
- お互いの手首を掴むように握る
- 向く方向が、交互になるようにする
この2つがポイントです。

引用元:https://www.niye.go.jp/navi/outdoor/moshimo/
溺れた人を救助!そこからどうする…?

海や川から引き上げた後、意識がない状態だったらどうしますか?
水を吐かせるのか、心肺蘇生をするのか、救急隊が来るのを待つのか…
正解は心肺蘇生が第一優先です。
日本赤十字社によると、
- 水を吐かせるよりまず心肺蘇生を開始し、できるだけ早く肺に空気を送りこむ
- 背が立ち、救助者の安全が確認できれば、気道を確保し、人工呼吸を始める
- 水中では効果的な心肺蘇生を行うことがむずかしいので、なるべく早くボートに乗せるか、水際に引き上げる
- 冷水の中に長時間水没していた溺者が蘇生した例もあるので、あきらめずに蘇生の努力を続ける
引用元:https://www.jrc.or.jp/study/safety/treatment/
と、あります。
まずは水を吐かせないと、効果ないんじゃないか!?と思っていましたが、ガンガン心肺蘇生していいようですね。
溺れた人が心臓マッサージされた後に、クジラみたいに水をピューって吐き出すアレ。
アニメの世界だけだと思っていましたが、意外と本当だったりするのか…
心肺蘇生のやり方
救命講習みたいなものを、一度や二度くらいなら受けたことがある人、多いのではないでしょうか。
私もむかーし、車の免許を取る時にやった記憶があるのですが、恥ずかしながら内容は一切覚えていません。
みなさんはきちんと覚えていますか?
いざ!という時は突然やってくるものなので、おさらいしておきましょう。
手順1 呼吸の確認
胸と腹部の動きを見て、呼吸があるかを確認。
呼吸がなかったり、呼吸していたとしても、しゃっくりをするような異常な呼吸の場合はただちに心臓マッサージを開始します。
呼吸を確認する時に、10秒以上かけないようにしましょう。
日本医師会によると、心臓マッサージは強く、速く、絶え間なく!!だそうです。
近くにAEDがありそうな場所なら、周りの人にAEDを持ってくるよう指示してください。
手順2 心臓マッサージ開始
心臓マッサージをする場所は胸の真ん中です。
- 胸が5cm以上沈むくらい強く押す
- 1分間あたり100~120回のテンポ
- 中断は最小限
胸が5cm沈むって、かなりの力じゃないですか?
思いっきり力を入れていいようですね。
ただし小児、乳児は胸の厚さの1/3だそうです。
ところで、1分間に100~120のテンポっていわれて分かりますか?
パッと分かる人はなかなか居ないと思うのですが、実は消防士の友人に、心臓マッサージはある曲に合わせてやるといいよ、と聞いたことがあるんです。
それが、ドラえもんが歌ってる「ぼく ドラえもん」なんですって。
あたまテカテ~カ、さえてピカピ~カってやつです。

内心そう思いましたが、大真面目にこの曲のテンポが、心臓マッサージにはいいそうです。
パニックになりがちな心を、ドラえもんがそっとなだめてくれる効果も期待して、あえてのこの選曲ということでしょうか。
でも、覚えておいて損はないと思いますよ。
手順3 人工呼吸
人工呼吸は感染症リスクのために、今はあまり推奨されていないんですが、溺れた人に対してはやっぱり人工呼吸が望ましいようです。
- 片手で額を押さえながら、もう一方の手の指先を顎の先端に当てて持ち上げ、気道を確保
- 心臓マッサージ30回+人工呼吸を2回(これを繰り返す)
人工呼吸にどうしても抵抗があれば、心臓マッサージだけでも大丈夫なようです。
また、人工呼吸をする時に発生する感染リスクをなくすための、感染防護具というものもあります。

引用元:楽天市場
ビニールのシートに穴が開いているので、直接口が触れることなく人工呼吸ができる発明品。
私が受けた救命講習でも、これを貰いました。
この感染防護具がないと、基本的に人工呼吸はしちゃダメですよっていうのが、近ごろの常識になってきているようです。
1つ持っていれば役に立つ日が来るかもしれませんね。
手順4 AED
AEDがあった場合は到着次第AEDを使ってください。
AEDは蓋を開けると自動的に音声が流れて指示を出してくれますので、使ったことがなくても大丈夫ですよ。
ただし、溺れた人に使う場合は1つだけ注意があります。
それは必ず濡れた体の水分を拭きとってから使用することです。
濡れたままだと最大限の効果が発揮されないようです。
こちらの動画は心臓マッサージから人工呼吸のやり方まで解説してくれているので、参考にしてみてください。
引用元:YouTube
【溺れた人の助け方】泳いで救助はやってはいけない!そのワケとは?まとめ

溺れた人が居た時に、助けたいと思うのは当然です。
しかし助け方を間違うと、悲しい事故につながりかねないので、正しい知識で夏をたのしみましょう。
必ず守ってもらいたいのは泳いで助けにいかないということです。
陸地から浮くものや、長いものを使って助ける方法を考えてください。
夏といえばキャンプですよね。
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