
揺れる大地、鳴り響く警報、慌てふためく人々。
突然襲いかかり、たった一度でもあたり前の日常を壊してしまう「地震」。
みなさんはもし大規模な地震による避難警報が出たら、避難する際の交通手段を考えたことはありますか?
車をお持ちの方であれば大多数の方が「車で避難」を選択するのではないでしょうか?
実は車での避難にはたくさんの危険性があり、地震の際には原則的には車で避難はNGなんです。
というわけで今回は、なぜ地震の際に車での避難がNGなのかを見ていきましょう。
目次
車で避難はNG?

ではなぜ地震が起きた時に車での避難は原則NGなのでしょうか?
渋滞や交通事故が起きる
多くの人が避難時に車を使用すると、渋滞や交通事故の発生率が高くなります。
渋滞や交通事故が起きると歩行での避難の妨げとなってしまいます。
これが原則車避難がNGとされている一番の理由です。
ただし、やむを得ず車を使用する際には、
- 道路の損壊
- 信号機の作動停止
- 障害物の有無
- 交通事故
これらの点に注意しながら避難しましょう。
また車で避難し始めた場合に、丘陵地や山間部で途中停車や駐車をしてしまうと、後続車の避難の妨げになってしまうので、十分な高さまで避難したら後から来る車の避難を助けてあげましょう。
津波に車ごと飲み込まれる
地震が発生することで一番恐ろしい災害が「津波」です。
東日本大震災の際に、避難中の車の渋滞に津波が押し寄せ、渋滞中の車を丸ごと飲み込んでしまいました。
海岸線より低い土地では内陸部まで津波が到達し、車どころか建物など全てを飲み込んで大規模な被害となります。
このような渋滞にハマって動けなくなる可能性を考え、原則車での避難は避けたほうがいいと言えます。
津波の際には車避難が認められる

矛盾するようですが、上記の「やむを得ず車を使用」という部分について、東日本大震災後に車避難の在り方が見直しされ津波からの避難の際には一部車の使用が認められる事となりました。
海から十分な距離を取る際の車避難の有用さが認められたのですが、それでも地震による津波の際に車での避難が最良という訳ではありません。
東日本大震災時のデータで、平均2.4kmしか移動できず避難中に車ごと津波に巻き込まれるというケースも多発した為です。
渋滞や建物の倒壊で思う様に進めなくなった場合には、車をおいて避難するなど命を守る行動を優先することが大事です。
冠水・浸水にも注意
津波で流されるまでいかなくても、冠水や浸水にも十分注意しなければなりません。
浸水深 | 対応 |
---|---|
10cm以下 | 車の走行には問題ない |
10~30cm | ブレーキ性能が低下。安全な場所へ車を移動する |
30~50cm | エンジンが停止。車から退出しなければならない |
50cm以上 | 車が水に浮く。車とともに流出される危険がある |
引用:https://www.carsensor.net/contents/bousai/tsunami/_64814.html
上記の表は千葉県の「津波避難計画」から浸水の危険性分類表になります。
30〜50cm浸水した時点でエンジンが停止してしまい、50cm以上になるとパワーウインドウ付きの車だと車内に閉じ込められる危険性も出てきます。
津波の際は川沿いや沿岸、高架下やアンダーパスなどは迂回して避難しましょう。
命を守る避難方法と備え

地震は突然襲ってくるため、いざ地震が起きた際に正しい判断をするには事前の準備や知識が最も重要となってきます。
次に事前の備えについて見ていきましょう。
事前に備えておくこと
ハザードマップの確認
みなさん「ハザードマップ」はご存知でしょうか?
地震含む災害は新しい場所で起こるより、昔から繰り返して起こるケースのほうが多く、過去に起きた被害状況をもとに土地の災害に対する強さを図る指針となるのがハザードマップです。
このハザードマップで自分が住んでいる場所はどこが安全でどこが危険なのか、身近にある自宅より安全な場所を日頃から把握しておきましょう。
こちらのサイトで自宅周辺のハザードマップが確認できます➡ハザードマップポータルサイト
またお住みの市区町村が指定する避難場所も合わせて確認しておき、移動中に二次災害に巻き込まれる可能性もあるので、目的地に向かうための避難ルートも一緒にシュミレーションしておくことをオススメします。
徒歩避難を考えた防災用品の準備
昨今各地で多発する地震に備え、ご家庭に防災用品を常備している方は多いのではないでしょうか?
しかしせっかく備えていても、その防災用品を持ち運ぶことが出来なければあまり意味がありません。
徒歩での避難を想定した基本的な防災用品は
- 懐中電灯(ヘッドライト)
- 軍手
- 飲料(500ml×1本)
- ポケットサイズのラジオ
上記4点は徒歩避難時の必需品で、まとめて防災リュックに入れて持ち運ぶのが理想です。
この他に、絆創膏や消毒液など応急処置が可能な救急箱、雨天時の避難の場合を想定した携帯雨具、冷え込みによる体温低下を防ぐ折りたたみ式のアルミブランケットなど、こちらも合わせて用意しておくと万全でしょう。
車で避難中(乗車中)に地震が来た時の対処法

万が一、車に乗車している時に地震が発生した際の対処法も覚えて起きましょう。
安全に停止する
車を運転していて地震が来たらとても驚くとは思いますが、まずは慌てずに急ハンドルや急ブレーキは避けてできるだけ安全に停止しましょう。
なお停止位置は道路の中央ではなく、左側に停止させるようにすると万が一緊急車輌が来たときも安心です。
周囲の状況を確認する
停止後は、カーラジオ等で地震情報や交通情報を聞くようにし、周辺の状況を把握した上で行動しましょう。
周辺状況を見て継続して車を運転する時は、道路の損壊状況、信号機の動作、障害物などに注意して運転しましょう。
車を置いて避難
周囲の状況によっては、車をおいて避難する事も選択しなくてはなりません。
車をおいて避難するときには、下記の点に注意します。
- 道路の左端に寄せる
緊急車両や他の避難者の妨げにならないためです。
- エンジンは必ず止める
万が一他の車輌の燃料が漏れていた場合に引火することを防ぐためです。
- キーは付けたまま、もしくは運転席のわかりやすいところへ置く
万が一避難の妨げとなった時に誰でも移動できるようにしておくためです。また窓は閉めロックはかけずに離れます。
こちらを守って車から離れるようにしましょう。
車避難経験者の証言

最後に、実際に地震による避難の際に車を使用した人の体験談を見てみましょう。
車を捨てられない人々
引用:https://www9.nhk.or.jp/archives/311shogen/fa/se1/index.html
小石さんは家の外へ出てすぐに自宅前の国道が浸水しているのを発見しました。
同時に大型ショッピングセンターから避難する人の車で渋滞しているのに気づき、車の中の人に向かって大声で逃げるように叫んだそうなのですが、ほとんどの人が車のハンドルをもったまま身動きできない状態だったそうです。
「車に乗っていれば安全」といった考えの人が多いことがわかる体験談です。
車に閉じ込められた
引用:https://www9.nhk.or.jp/archives/311shogen/fa/se1/index.html
中村さんは、車で避難中に津波が押し寄せ、車ごと流されてしまったそうです。
流された後に一命は取りとめたものの、車内に閉じ込められて溺れそうになったそうです。
30分ほど車内に閉じ込められていたのですが、その後幸いにも3人の男性に救助され無事だったそうです。
中村さんが無事でなによりというのと、実際に津波被害に合われた方の体験談は本当に恐ろしく、大変貴重だと思いました。
車が住宅の屋根まで浮いた
引用:https://www9.nhk.or.jp/archives/311shogen/fa/se1/index.html
我妻さんは、津波による避難警報が聞こえたものの、来るはずないと考えていたそうです。
しかし近くまで津波が来てようやく状況を理解し、慌てて車で避難を開始しましたが、津波に50m程流されてしまったそうです。
ですが、幸いにも物置でせき止められた車が、水位が上がったことにより民家の屋根まで浮き上がり、一命を取りとめたそうです。
一度津波に流されたとのことですが、その時の我妻さんの恐怖心は想像もつきません。
【防災知識】地震が起きたら車で避難はNG?車避難の危険性を解説!まとめ

今回は、地震が起きた時に車で避難する危険性について見てきました。
車社会の現代に、車を使わない移動は考えにくいものですが、命を守る行動を最優先に考えた時に冷静な判断をしなくてはなりませんね。
この記事をご覧のみなさんもこれを機会に事前の備えを意識しましょう。
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