私たちが住む日本は世界でもトップクラスの地震大国であると同時に、昔から多くの津波も経験してきました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では東北地方を約9mにもなる津波が襲い、1万5894人が命を落とし、今もなお2000人以上の方が行方不明という甚大な被害が出ました。
残念ながら地震や津波は自然災害である以上避けることはできませんが、普段からできるちょっとした対策で自分の命を守ることができるのなら、やらないわけにはいかないですよね!
何をしたらいいか分からない人も、これを知っているだけでいざという時に役立つ家でできる津波対策方法を教えます。
目次
津波の危険性

東日本大震災で津波の威力や危険性を目の当たりにして、一時は海沿いから引っ越す人が多発したり、土地価格が下落したりと海への恐怖心が人を動かしました。
真っ黒な津波が街を飲み込み、その高さと威力は堤防など無いに等しいと錯覚するほどでした。
しかし南海トラフ地震の津波の高さ予想では、東日本大震災を大きく上回る高知県で34m、静岡県で33mの非常に大きな津波が想定されています。
津波の高さと被害
引用元:高知県防災マップ
上の図は津波の高さとそれに伴う被害を図にしたものです。
見てもわかる通り30cmの津波でも行動が取れなくなり、1mの津波が来るとほとんどの方が亡くなってしまうことが分かります。
水深1mの水にただ立っているのとは違い、水の塊がものすごい力で押し寄せてくるのが津波の怖い所です。
日本の津波被害

地震の多い国のランキングで4位とされている地震大国日本は昔から何度も津波の被害に遭っています。
過去100年の津波被害
発生年・地震名称 | 津波による主な被災地 | 最大波高 | 被害・備考 |
1923年・関東大震災 | 静岡県熱海市 | 12m | 当時史上最大規模の被害。震災による犠牲者が10万人以上 |
1933年・昭和三陸地震 | 岩手県大船渡市・宮古市 | 10m | 田老村では人口の4割が犠牲になった |
1940年・積丹半島沖地震 | 北海道利尻島 | 3m | 10名の死者は全員溺死 |
1944年・昭和東南海地震 | 三重県尾鷲市 | 9m | 地震後10分で津波が到達 |
1946年・昭和南海地震 | 和歌山県串本町 | 6m | ハワイでも津波を観測 |
1952年・十勝沖地震 | 北海道浜中町 | 6.5m | 死者28人 |
1983年・日本海中部地震 | 秋田県八峰町 | 14m | 韓国にも津波が到達し、3名の被害者が出た |
1993年・北海道西南沖地震 | 北海道奥尻島 | 16.8m | 死者・行方不明者198人 |
2011年・東日本大震災 | 福島県相馬市 | 9.3m | 犠牲者、原発への影響等国内観測史上最大の被害 |
なんと9回も被害にあっていますね。
平均すると約10年に1度は9m以上の津波が日本のどこかに押し寄せていることが分かります。
国内だけでなく韓国やなんとハワイまで伝わるものまで!!!
被害が大きくなってしまった理由には、「夜に津波はやってこない」「日本海側では津波がおきない」など、誤った情報を信じてしまったばかりに、命を落としてしまう方が多かったと言われています。
家でできる津波対策とは?

台風や大雪など予測できる災害に対して津波は予測困難なのが現状ですが、突然やってくるからこそ家で出来る事前の対策が自分の命を守るカギになるのです。
大きな震災がおきた場合、亡くなった方の死因には特徴があり、関東大震災は焼死が多く、阪神・淡路大震災は圧死が多かったです。
一方で東日本大震災で亡くなった方の死因は圧倒的に溺死です。
地震で助かった命でも、逃げ遅れたことによって被害が大きくなってしまったと思うと残念でたまりません。
それでは家で出来る津波対策のポイントを教えます!
自分はいくつ出来ているか確認してみてくださいね。
家具の配置

津波が来る時は1秒でも早く逃げなければいけません。
そのためにまず家具を固定しましょう。
家具の下敷きになり身動きがとれなくなったり、逃げ道が塞がって逃げ遅れる事を防ぎます。
キッチン・リビング
・背の高い家具はL字型金具で壁と固定。賃貸物件などで壁との固定ができない場合は突っ張り棒で代用できます。
・食器棚に入れる食器は重いものが下、軽いものが上になるようにする。
・窓にはガラス飛散防止フィルムを貼る。
・テレビも凶器になります。転倒防止の耐震マットは100円ショップで簡単に買えます。
寝室
・就寝中に頭の上に物が落ちてこない家具の配置を。
・視力矯正をしている人は枕元にメガネを置いて寝る。
・スリッパ、懐中電灯は枕元に置いておく。寝ている時は裸足ですもんね。スリッパがあるだけで窓が割れたとしても歩けます。厚底の物を選んだ方が怪我のリスクは下がります。
玄関
忘れがちですが玄関も気を付けましょう。
避難の時に靴を履くため玄関に行きますが、玄関に普段から大きな鏡、水槽、花瓶があると、これらが粉々になって怪我をする危険性があるからです。
津波は海の中ではジェット機と同じくらいのスピードで進み、陸地付近でも元陸上選手のウサイン・ボルトに近いスピードでやってきます。
ただでさえ逃げ切れるか不安なのに、怪我をした足では尚更ですので怪我をしないように避難する事も重要です。
非常用持ち出し袋の準備

数年前、大雨によって私の住む地域周辺に、続々と避難勧告が出された事がありました。
我が家は非常用持ち出し袋を事前に用意していたので、「いざという時はこの荷物さえ持って逃げれば大丈夫」と、恐怖に押し潰されそうな中での唯一の安心材料になった経験があります。
なので非常用持ち出し袋は必ず準備をして欲しいですが、その時に気をつけたいポイントがあります。
詰め込みすぎない
津波対策の非常用持ち出し袋を準備する上でポイントなのは、避難生活中に困らないようにとあれこれ詰め込まないことです。
津波から逃げる方法はとにかく高い場所へ逃げる事なので、重い荷物が足かせになっているようでは本末転倒です。
中身の確認
非常用持ち出し袋の基本の中身は以下の物です。
自分ですべて揃えるのが面倒な時は、非常時に必要な物をセットにして販売している事も多いので、そういう物もうまく活用しましょう。
最近ではネット通販でライフジャケット入りの非常用持ち出し袋や、浮く素材でできたリュックサックなんかも売られています。
津波対策を強化するのなら、そこにアルミ製保温シートを入れておきましょう。
体が濡れてしまっても体温を奪われるのを防ぎます。

貴重品の保管場所

東日本大震災の際に流失した金庫は約5780個。金額にして約28億円と言われています。
しかし、貴重品は金庫へ入れる癖をつけましょう!
なぜなら流失した金庫のうち、99%以上が持ち主に返還されているからです。
これは日本の治安のよさがあってこそのエピソードであり、海外からも称賛されています。
無事に返還された理由としては、金庫内に入っていた通帳や、権利書が持ち主を証明してくれたからであり、現金しか入っていない金庫の証明は難しいのでご注意を。
また金庫自体に防水加工がされていない物もあるので、防水対策されたケースに入れてから金庫に入れたほうがいいですね。
エアコンの室外機で対策を
津波だけでなく、洪水や浸水による水害で家電を買い替えなくてはならない事も多いです。
そこで少しでもダメージを軽減させるために出来ることは、エアコンの室外機を高い場所に設置すること。
エアコン本体は無事なのに、室外機が水没して壊れてしまったせいで買い替えるのも、なんだかもったいないですよね。
10m級の津波がきてしまったら効果はないかもしれませんが、ある程度の床上浸水被害ならこの対策でエアコンを守ることができます。

これから家を建てるなら…

津波対策をしつつ家の建築を検討している方はさらに出来ることがあります!
それはリビングを2階に設計すること。
リビングが2階という事は、寝室や子供部屋が1階になることが多いですよね。
すると1階部分に部屋がたくさん出来ることにより、壁や柱が増えて、地震に強い家・倒壊リスクが少ない家になります。
仮に津波により家の1階部分が浸水してしまっても、2階にキッチンやリビングがあることにより、居住スペースを守る事にもつながります。
津波対策のカギは家にあった!地震大国日本で自分の命を守る方法まとめ

津波対策のために家で出来ることは、意外と簡単な物も多かったのではないでしょうか?
普段は美しい景色を見せてくれる海も、津波がおきた場合は容赦なく私たちを襲ってきます。
津波はじっとしていれば助かるかくれんぼではなく、捕まったらアウトの鬼ごっこです!
日頃から対策をした上で、津波が来る場合は即座に逃げて命を守りましょう。
私はこのタイミングで非常食をチェックしたら、賞味期限が1年も過ぎていました。
皆さんもこの機会に津波対策を見直してみてくださいね。
また地震は突然やってくるものなのでそれが「車の中」だったらうまく対処できますか?
併せてこちらの記事も読んでおくと安心ですよ。
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